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静岡家庭裁判所沼津支部 平成元年(家)1134号 審判

申立人 宮本雅行

未成年者 与田彰

主文

未成年者の親権者を申立人と指定する。

理由

1  申立ての趣旨及び実情

申立人は、主文と同旨の審判を求め、その実情を次のとおりに述べた。

未成年者は、申立人と与田菊江(以下単に「菊江」という。)との間の子として昭和54年2月5日出生したものであり、申立人は同年8月13日に未成年者を認知し、その旨届出をした。菊江はその後昭和57年3月2日に申立外田代直道(以下単に「田代」という。)と婚姻し、未成年者も田代と養子縁組をしたが、昭和61年10月17日に菊江と田代とが協議離婚し、同時に未成年者と田代とも協議離縁した。その後菊江が死亡したため、田代が未成年者の後見人となり、その養育に当たって来たが、この度、申立人と田代とが話し合って、今後申立人が未成年者を引き取り、養育するのが適当であるとの結論を得た。よって本件申立てに及ぶ。

2  当裁判所の判断

本件記録、当庁昭和61年〔家〕第1166号事件記録、平成元年〔家〕第1133号事記録(同記録に編綴の家庭裁判所調査官作成の調査報告書を含む。)によれば、次の事実が認められる。

未成年者は、申立人と菊江(本籍静岡県沼津市○○××番地の×)との間に昭和54年2月5日出生した。菊江は、昭和57年3月2日田代と婚姻し、同時に未成年者と田代とは養子縁組をした。しかし、昭和61年10月17日菊江と田代とは協議離婚し、未成年者もこれに従い、協議離縁をした(この間の昭和58年3月18日菊江と田代とは一旦離婚し、同時に未成年者と田代とも協議により離縁したが、翌日再度婚姻し、未成年者と田代とも養子縁組をした。)

ところ、菊江は昭和61年10月21日死亡したので、静岡家庭裁判所沼津支部は、昭和61年11月27日、田代の申立てにより未成年者の後見人として同人を選任し、以後同人において未成年者の養育に当たってきた。

最近になって、未成年者が申立人との生活を望み、田代と申立人とが話し合ったところ、未成年者の養育は今後申立人がするのが相当であるとの結論に達し、平成元年12月22日以来申立人が未成年者を引き取り、一緒に暮らしている。

申立人には、妻と昭和40年8月8日生まれの長女、昭和42年4月13日生まれの次女があるが、これらの家族も、申立人が未成年者の親権者となり、ともに生活することを了承している。また田代は後見人の職を円満に辞する意向であり、その旨の許可の審判を求めて申立てをした。以上の事実によれば、民法第819条第5項を準用して、未成年者の親権者として申立人を指定するのが、未成年者の福祉に適うものと認められる。よって主文のとおり審判する。

(家事審判官 曽我大三郎)

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